ショール 成人式の必需品 首周りに巻く「ふわふわ」とは


成人式の装いと言えば、振袖姿の上に、ファーのようなフワフワを巻いたお姿を想像される方も多いはず。
あのふわふわもこもこは何なのか、何のために使うのかなどをご説明いたします!
成人式で使われるこのふわふわもこもこしたものは、「ショール」と呼ばれています。
ふわふわしてかわいい! だけでなく、ちゃんと意味もあるんです。
振袖の上に着用するコートのようなもので、防寒具として着用されるのです。
でも、「和」の着物になぜ「ショール」というものを合わせるの?
「マフラー」や「ストール」とどう違うの?
どんなものが使えるの?
いろいろな疑問をお持ちかと思います。
今回はそんな疑問にお答えいたします!!
ショールってそもそもなに?
~ストール、マフラーとの違い~
肩にかける「ショール」と聞いて連想されるのが、
なんとなく似ている「ストール」という言葉。
そして、首周りの防寒具には「マフラー」をいつも使ったりもしますよね。
これら三つの違いってご存知ですか?
まずはこの疑問からお答えしていきましょう。
「ショール(shawl)」と「ストール(stole)」は、なんとなく響きもイメージも似ています
日本では混同されている部分もあるようですが、この二つは別物なんです
もともと「ショール」はインドのカシミール地方で使用されていた伝統衣装が発祥とされ15世紀ごろにヨーロッパに伝わったのに対し
「ストール」は古代ローマの「ストラ」あるいはキリスト教カトリックの司祭さんの肩に掛ける布が元になったものとされています。
似ているようで、起源から全く別物だという事が分かりますよね
また、「ショール」は「ストール」に比べて幅が広いものを指し、
ショールの方が厚手であるのが一般的と言われています。
同じく首周りに巻く「マフラー」は、細長く、首周りだけを覆うことができ
「ショール」や「ストール」は肩回りを覆います。
覆う範囲が「マフラー」と「ショール」「ストール」の大きな違いでもあります
なぜ『きもの』に「ショール」を合わせるのか
~はじまりは明治時代~
「1.ショールとは何か」の中でもご説明した通り、
「ショール」というのはインドのカシミール地方で着用されていた伝統衣装が
15世紀ごろにヨーロッパに伝わったものです。
鎖国を終え、文明開化を目指した明治時代、欧米からの文化を取り入れていく中で生まれたのが、
それまでは主流でなかった「女性用着物の上にもう一枚羽織る」という文化でした。
女性用着物として現れた羽織りもののなかで、防寒具として取り入れられたものの一つが、欧米から伝来した「ショール」でした。
「きもの」に「ショール」を合わせるようになったのは明治時代が始まりなのです。
ショール着用のきっかけ
成人式にショールを着用するようになったのは、
1959年の成人式で美智子上皇后がご成婚をされた際にミンクのショールを着用されたことがきっかけと言われています。
当時、皇室で初めて自由恋愛から皇后になられた美智子さまは、日本女性全員の憧れの的でした。
60年以上前のことですが、今も成人式でみんながショールを着用されるぐらいに普及していることから、
当時の女性たちがいかに美智子さまに注目していたかがうかがえますね。
また、きものの上着と言えば江戸時代以前から存在する「羽織」ですが、もともとは男性だけが着用するものでした。
江戸時代、女性の芸者が羽織を着用していたところから民間にも流行しそうになったこともありましたが、
江戸時代には幕府から民間女性の羽織着用を禁じられた時期もあり、
女性の間で広まったのは明治時代に入ってからでした。
ちなみに、「ショール」はきもの用コートの1種とされています。
成人式の際、会場の中では外すのがマナーですので覚えておきましょう。
ショールの材質
「2.なぜ『きもの』に『ショール』を合わせるのか」でもご説明した通り、
成人式でのショールが流行したのは美智子さまがミンクのショールを着用されていたことからといわれています。
ですが、ミンクは高級なため、当時流行したショールの多くは、ラビットやフォックス、フェイクファーなどがほとんどでした。
お母さまやおばあさまがお持ちのショールを使われる方が動物系のファーをお使いになるのはこの影響と考えられます。
現在ではさらに安価な水鳥やオーストリッチのショール、
フォックス毛皮を複数繋いだ4連や5連のショールなども登場しています。
個性に合わせやすい、黒やブラウン、ピンクやクリームなど、色付きも人気です。
そのほか、古典系のデザインの、ベロアのショールもあります。
さまざまなデザイン、素材のショールがあるので、お嬢様の個性に合わせて選んでみてくださいね♪
いかがでしたでしょうか?
今回は「成人式のふわふわ」「ファー」など、様々な呼ばれ方をする「ショール」について解説いたしました!
きものに「ショール」を合わせるのは、明治時代からの文化。
ですが、ショールは「きもの用コート」の一種ということを忘れないでくださいね
正式な場では手に持ちなど正しいマナーを身に付けて成人式をに臨みましょう♪